遠近法ノート

本好きのデザイナー、西岡裕二の日記帳なのです。デザインと読書について書くはず。

看板書きの流儀。

先日、母の一周忌の法要を終えました。
その翌日のこと、実家に居てはすることもなく、暑くて出かけることもできねえ!
んで、たまたま、父が近所の神社で開かれる演芸大会の演目を書くアルバイトをしていたので、日がな一日それを眺めて過ごしました。
えーっとなんていうんだっけ? 舞台の袖でめくっていくやつです。
こんなの。


以前に書きましたが、父は看板描きをやっていました。そちらを退職してからは書道を習い始めて、これももうずいぶん長く、今では書道の先生として教えるまでになっています。
そんな事情があるもので、看板と書道、どちらの流儀で書くのかなーと思って見ていました。
原稿の字数を数え、紙に定規を当てて線引き、全部の紙に割り付けを引いてから、ようやく本書き。こりゃ完全に看板の流儀ですね……。
「書道の流儀でも書けるんじゃないの?」と聞いてみたところ、こういうものは割り付けしないと書けないといいます。書道の先生なんかがこれを担当することがあるのですけど、書道の書き方では「あっち行ったりこっち行ったりふにゃふにゃする」からダメなのだそうで。そんなものかしらん?
まあポリシーみたいなものでしょうか。このアルバイトに関しては書道ではなく、あくまで看板として書くとのこと。割り付けの重要さをやけに力説していました。

写真に鉛筆の線が見えますかしら。割り付けっていうのは要するに原稿用紙的なグリッドを書くということでして、なんか自分の仕事とやってることが近すぎるし、父さんやっぱり文字うまいし。こちらはぼんやり眺めてただけですけど、意外に得るところがあった一日なのでした。