遠近法ノート

本好きのデザイナー、西岡裕二の日記帳なのです。デザインと読書について書くはず。

はかどる! Illustratorの文字詰め。

Illustratorで文字詰めするには、「プロポーショナルメトリクス+自動」が最適解なわけですけど(用意された答えという意味では)、最近ようやく認知されてきたのかな……。[文字ツメ]だとか[オプティカル]だとかいったインチキな機能は使いませんよ?
分からない人はこことかこことかこれとか読んでいただくとして、その前提で話を進めますので、この時点で意味のわからない方は以下は読まないでください。

[プロポーショナルメトリクス]をチェックし[自動]を選択する。さらに、約物を詰めるために[文字組み]から「約物半角」を選択……と。
計3か所です。
はっきりいってかったるいです。
やってられっか!という感じですよね。

……めんどくさいから一括適用でいいんじゃね?
ここで段落スタイルを使っちゃいましょう。Illustratorの段落スタイルって使ってる人います? いないですよね。いや、僕もほとんど使ってません。
まあいいです。とりあえず以下のように設定を作ります。

基本のスタイル→新規段落スタイル→段落スタイルオプションで、カーニング[自動]、OpenType機能[プロポーショナルメトリクスを使用]、文字組み「約物半角」、この3つをチェック。あとついでに、禁則処理[弱めの禁則]も*1
フォントや級数などはすべて空欄とします。うっかり選択してしまった場合は(無視)を選ぶと空欄になります。スタイル名はとりあえず「基本のスタイルの詰め」という名前にしておきました。

文字を入力して級数や書体を設定したものがあるとします。

選択して、段落スタイルの「基本のスタイルの詰め」をポチッと押します。

はい、きゅっといい感じに詰まりました。

スタイル名の後に「+」が付いていますよね。これは、スタイルが変更されているということです。級数や書体を手動で変更していることを表しています。手動の変更部分はそのままに、詰めの設定のみが追加で適用されたということでもあります。
もう一度ポチッと押しちゃうと、「+」が消えて、すべて小塚ゴシックPro R/16.93Qに変わってしまうので注意しましょう。
Illustratorにおいて、文字はすべて既存の[標準段落スタイル]の下に置かれ、その変更という扱いになっています。[標準段落スタイル]の内容が「小塚ゴシックPro R/16.93Q/そのた諸々」ですから*2、「基本のスタイルの詰め」に書体や級数を設定していなくてもそうなるわけです。このあたり、InDesignとは挙動が微妙に違っています。これはこれで便利な気もします。
あまり気にしなくてもだいじょうぶです。

上の例では、級数や書体を設定したあとに「基本のスタイルの詰め」を適用しました。しかし、どちらかというと最初に「基本のスタイルの詰め」を適用しておいてから級数や書体や色を変えるほうがいいかと思います。

さて、さらにこの、「基本のスタイルの詰め」をポチッと押す、という動作をアクションに記録して*3、ファンクションキーにでも割り当てれば、キーひとつで詰めが完了*4。まあ、一連の動作そのものをアクションにするという手を使えばスタイル作る必要もなかったりなんかして……。
ちなみに「プロポーショナルメトリクス+自動」だけなら、段落スタイルじゃなくて文字スタイルのほうでもいけます。「+」が付かない状態でしっかり適用(?)できるので、場合によってはこちらのほうが都合がいいかもです。

設定作るのめんどくせー、という人のためにファイルをおいてますので、よかったらどーぞ。段落スタイルと禁則や文字組設定など入ってます。現時点のバージョンはCS3です。
aics3.zip

*1:画面に見えるのは当方のオリジナル設定ですけど、べつに既存のやつでもいいです。

*2:実際には[標準段落スタイル]に小塚ゴシックPro R/16.93Qとは入っておらず、さらに上の階層で決まっているようです。また、[標準段落スタイル]の内容は書類単位で変更できますが、まあ触らないほうがいいでしょう。

*3:イラレの段落スタイルはショートカット割り当てないんですよね……。

*4:もちろんそのあと、字送り+カーニングで手調整するんですよ。