遠近法ノート

本好きのデザイナー、西岡裕二の日記帳なのです。デザインと読書について書くはず。

【まとめ】同人誌の本文用フォントはこれでいいんじゃね?(有料フォント編)

さて皆様、年末の入稿はもうお済みでしょうか?
この時期にアレですけど、今回は、もう一歩踏み出して、ちょっとだけがんばってひとつだけフォントを購入してみよう編、です。前回(もうだいぶ前だけど)のは、いわば導入編でありまして、こちらが本編なのです。

キレイな誌面を作ろう! という場合、書体をいろいろ使い分けるのはかえって逆効果なのです。
たいていの人は、楽しいデザインにしようとして、ワープロソフトなんかにくっついてきたいろんな書体を使ってしまいます。ですが、複数の変わり書体を制御するのは難易度が高いもの。結果、素人っぽい誌面になってしまうわけです。面白い書体を使ったからといって面白い誌面になるわけでもないんですね。
ではどうするか?
思い切って使う書体をひとつだけにしてしまうんです。
その書体はスタンダードなものを選ぶわけですけど、それじゃあやっぱり、付属のフォントやフリーフォントでは不満……?
では書体を購入してみますか?
それでまあなんとか1万円くらいでおさめることを条件として、これだ! という単品の一書体(というか一製品)を選んでみましょうか、本文に使うという前提なのでとりあえず明朝体を、というのが今回の趣旨となりますです。
(ちなみにプロユースのフォントはだいたい一書体1〜3万円ぐらいです。よく「日本語フォントは高い」とか言う人がいますけど、欧文フォントも一書体4千円ぐらいが普通ですから、字数と市場を考えれば特に高価ということもないんですよ)


リュウミン
Windows Vista対応 7書体パック Pack For Vista/オンライン価格¥11,970円
WindowsTTのみ。
http://www.morisawa.co.jp/font/products/packforvista/

出版印刷で今もっとも普通に使われている明朝体というとリュウミンなんですね。プロユースではたいていOpenTypeフォントを使うものですが、WindowsTrueTypeフォントも出てるんです。この「Pack For Vista」は、リュウミンが3ウエイト、新ゴなども入ってお得なセットだと思います。もちろんVistaだけではなくて、7でも使えます。
似たようなセットで「基本7書体パック」というのもありますが、こちらはおすすめしません……。

●イワタ明朝体オールド
OpenTypeフォント(Std版)/¥10,500
WindowsTT/¥8,500
http://www.iwatafont.co.jp/store/iwatastore.html

小説といえばこれ、というくらいおなじみの書体。これ使うといかにも読み物らしくなるんです。文字数の多いPro版等もありますが、通常の使用ならStd版でも十分。
ブックフェアなんかに行くとお安く入手できるかもしんない。

●本明朝
WindowsTT(4書体セット)/DL価格¥8,085
http://www.ryobi-group.co.jp/projects/printing/font/index.html
http://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=6869

ウエイトはLよりもMのほうがいいかな……。ウエイトLの標準のかなは、素人目にはMS明朝と大差なく見えるかもしれません(元ネタなので)。新がなはクリアなイメージで、高級感がありますね。

●TR大正明朝体Std-R
¥7,560
http://www.terra-sys.co.jp/

やわらかくクラシカルなイメージで、太さもちょうどいいです。マイナーどころではありますが、これひとつあれば、感じのよい誌面が作れそうです。個人的にはプッシュしたいところ。

リョービ コミック用フォント
WindowsTT(4書体セット)/DL価格¥13,388
http://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=6957
すいません画像なしです。
マンガの吹き出し用フォントとして気軽に買えそうなのはこれぐらいですねー。ゴシック漢字とアンチックかなが一緒になってるフォントってそう多くないし(ゴシック体とアンチック体を合成して使うことが多いです)。すでにコミスタとかの付属フォントを持ってる人には必要ないかな。

……というわけで、本文に使うフォントをひとつだけ買うとしたらどれにする? ということで選んでみました。なんか、Windowsのほうがお得?な気がしてきましたけども。おそらく「Pack For Vista」あたりは地方自治体とか病院とかが主な顧客なんじゃないかしらん。和文WindowsTrueTypeフォントって徐々になくなってきてる印象ですが、OpenTypeフォントへの対応がいまいちなソフトもまだまだ多くて、TrueTypeのほうが都合がよい場合もあります。そのへんよーく調べてから失敗のないように購入しましょう。

おまけ

「金なら出せる!」という人には、秀英明朝L(Select Pack 1 価格¥21,000)・游明朝体R(価格¥31,500)あたりをおすすめしておきます(追記:游明朝はMac/WinともOS付属になりましたね)。
また、かな書体には比較的安価でよいものがあるので、ちょっと雰囲気を変えたい場合にいいです。ぜひ探してみましょう(たくさんありすぎて紹介できない……よく使われてるのは、これとか。案外、手の届く値段でしょ?)。

追記

以上紹介したフォントは、別途契約などなくそのまま印刷物(商業・同人の区別などというものはありません)に使ってだいじょうぶなライセンスとなっているはずです。そのためにお金を払って購入するのですから。
一般的に、商用フォントにおいて別途契約が発生しうるのは、「ゲームへの組み込み」「サーバーからの配信」「ロゴとしての商標登録」ぐらいでして、印刷物に使う分にはあまり気にする必要ありません(この点、フリーフォントやバンドルフォントでは、商用利用に関して個別に確認する必要があったり、かえって面倒なこともあります)。

フォントは一度購入すればかなーり長く使えるもの。頻繁にバージョンアップされるアプリケーションソフトと違い、現在のプロユースのフォントは、一生ものの買い物と言えます。
ぜひ、お気に入りの一書体を見つけてみましょう。

和文フォントのDL購入はこのあたりで。
http://designpocket.jp/dl_font_category/index.aspx
http://font.designers-garage.jp/
http://www.fontfactory.jp/index.php/
http://www.dlmarket.jp/default.php/cPath/168