遠近法ノート

本好きのデザイナー、西岡裕二の日記帳なのです。デザインと読書について書くはず。

理想の「の」を作ってみる!【ゴシック体篇】

ゴシック体といえば、僕はイワタのゴシック体が大好きなんです。
伝統のある書体は独特の力強さがあります。
ただですね、現行のOTF版イワタゴシック体オールドは、どうも全体的に形が整理されているんですね。「オールド」という名を冠していながら、現代的な普通のゴシック体に近くなっています。これはこれでいいかなあと思うところもあるんですが、「の」の字だけは気に入りません。まったくもって気に入らんのです。イワタゴシックの「の」はこうじゃねーよ!っていう感じがします。どうしてこんなつまらないフォルムにしてしまったのかな。……と、以前から思っていました。

参考:イワタゴシック体オールド

まあ愚痴っていても仕方がないのです。ないものは作ったらええやん!と気が付いたので(いいかげん気付くのが遅い)、自分の理想を反映したイワタゴシック用の「の」の字を試作することにしました。
活字をスキャンしてトレスするのではなく、あくまで脳内イメージから、新しく書き起こしちゃいます。

参考:写研の岩田太ゴシック*1

やっぱりイメージ元はこれなんだろうなぁ。「の」の字がぜんぜん違うでしょ。その昔、ピー・アンド・アイから出ていたらしい岩田呉竹体*2も、この書風に近かったですね。ほぼ直線で斜めに下りてきて直角に曲がり円弧を描く。特徴のはっきりした「の」です。フォルムだけで言えば、秀英3号明朝に近いところがあります。

というわけで作ってみました。
イワタゴシック体オールドの「の」とn-yujiの「の」の比較。

あれ? まあまあいけてんじゃね? どう見ても(ry

いや、はめ込むとちょい違和感あるかな。
……近いうちに何かの仕事で使ってみよお。

*1:比較用にスキャンしましたが、これをトレスするわけではありません。

*2:参考:http://www.akibatec.net/wabunfont/library/etc/etc.html