遠近法ノート

本好きのデザイナー、西岡裕二の日記帳なのです。デザインと読書について書くはず。

キートップのフォント。

スラドより。
auPENCK」のキートップフォントは盗用されたもの?」
http://slashdot.jp/mobile/05/03/28/0046234.shtml?topic=97
すでに多数のコメントが付いていて、もう付け加えることもなさそうですが。
ちょっとした誤解といったところが真相かなと思いますけど、フリーフォントを使ったっていうのは、やっぱりちょっとアレです。そっち方面のデザイナーさんは、あまり書体を選ぶ意識がないのかな……。
あれほど話題になったINFOBARですら、キーのかなは凡庸きわまる平成角ゴシックでしたし。ibookにスーラを使ったAppleは、やはりちょっと偉かったかもしれません。

考えてみれば、こうした工業製品の文字にパソコンのフォントを使うようになったのは、本当にごく最近のことのように思います。ついこの間まで、パソコンのキーボードの書体だって、写研のそれ(たぶん)が主流だったような。この前も書きましたが、今の市販キーボードの書体って、けっこういい加減なものが多くてびっくりです(あれは日本で作ってないからかな)。


ちょっと話は変わりますが、DTP向けに販売されているフォントは、文字通り紙媒体での使用を前提としているようなところがあって、工業製品などに使う場合の権利関係とか、あまり考えてないっぽいフォントベンダーさんもありそうです。
たとえば、激安フォント集の「FONTWIRE 3400」(持ってないけど)の使用許諾には、

本製品は、営利、非営利を問わず、広告やパンフレット等の印刷物の印字作成用や、ホームページ等の文字表現用として使用できます。

とか書いてあります。キーボードは印刷物じゃないような気がしますし。別に使っていいのかもしれないけど、なんかちょっと不安になりますよね。
DFに至っては、どう考えてもプロ向けであろうOTF版でさえ、

お客様は、本ソフトウェアを非商用(個人使用、団体および企業内で使用することにより、直接的な営業収入を生じない)に限定して使用することができます。

なんて書いてあって、普通に解釈するなら、ごくごく普通の印刷物すら作れなさそうだったりします(まあ使いませんけども)。
そういったわかりにくいフォント事情も、背景にあったりするかもしれません。